粉瘤のくり抜き法(臍抜き法)について① くり抜き法の手順

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫)ができ、その中に垢(角質や皮脂)が溜まってしまう病気です。

医学的には、類表皮嚢腫といいます。

小さいものでは数mmのものから、大きいものでは10cm以上になることもあります。

粉瘤の治療は手術で嚢腫を摘出することになるのですが、その手術法には切開法くり抜き法があります。

切開法はメスで紡錘形に皮膚を切開して嚢腫を摘出する方法で、粉瘤の直径と同じかそれよりやや小さめに皮膚を切開・切除することが多いです。

切開した傷は縫って閉じる必要があります。

くり抜き法は、デルマパンチという皮膚をくり抜く器械を使用して嚢腫をくり抜く方法です。

2~4mmのくり抜く機器を用いて施術を行うので、通常そのサイズの傷跡しか残らず切開法と比べて小さな傷痕しか残りません。

傷痕を小さくできるので、粉瘤ができる場所によっては非常に優れた治療法ですが、浜松市や静岡県内でくり抜き法を行なっている施設は少ない様です。

今回はくり抜き法について説明します。

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くり抜き法の手順

①麻酔

通常、注射の局所麻酔で行います。

注射針を刺す痛みを和らげるため、あらかじめテープやクリームで表面麻酔を行います。

②デルマパンチで皮膚をくり抜く

粉瘤には一般的に皮膚表面と交通している臍があります。(足の裏の粉瘤は見つからないことが多いです。)

この臍をデルマパンチでくり抜きます。

粉瘤の大きさに合わせて2~4㎜のデルマパンチを用いて丸い穴を開けます。

③内容物の圧出

粉瘤の内容物(粥腫:垢の塊)を押し出します。

④粉瘤の袋(嚢腫壁)の摘出

開けた穴から粉瘤の壁(嚢腫壁)を見つけ、それを丁寧に周りの組織から剥がして引きずり出します。

⑤袋が取り切れているか確認

洗浄し、袋の残存がないか確認します。

この確認作業がとても大事です。

袋の取り残しがあると再発してしまいます。

小さい穴なので確認しにくいですが、穴の位置をずらしたり皮膚をひっくり返したりなどをし、もし袋の残存があれば追加で摘出します。

くり抜いた皮膚や、嚢腫壁は病理検査(顕微鏡検査)に提出して正確な診断をつけます。

後処置

傷は縫わずにそのままとし、ガーゼや絆創膏を当てて終了です。

術後の経過と家での処置

自宅では毎日シャワーなどでよく洗浄し、軟膏を塗ってガーゼや絆創膏を当ててもらいます。

2週間程度で傷が閉鎖します。

傷あとは、最初は2~4㎜の赤いニキビ痕や水ぼうそうの痕のようになりますが、3ヵ月~半年程度で肌色に戻っていきます。

傷は治る過程で収縮していく性質があるため、術直後に空いている穴より少し小さい傷あとになることが多いです。

合併症

出血、感染、傷跡といった一般的な手術合併症に加えて、くり抜き法に特有な注意点として再発が多いという報告があります。

小さな穴から嚢腫壁を引きずり出す手術法のため、途中で嚢腫壁が破れたりするとすべて取り切れずに残存し、再発につながってしまいます。

再発した場合追加の切除が必要となります。

まとめ

今回は粉瘤のくり抜き法の手順ついて説明しました。

次回はどのよううな粉瘤がくり抜き法に向いているかを説明します。

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