足の裏にできる粉瘤は、顔や背中などにできる粉瘤とは違った機序で発症すると考えられています。
顔や背中の粉瘤は毛嚢脂腺系の炎症(ニキビなどの毛穴の炎症)や、髭剃りなどによる小さなケガで表皮が皮膚の中に迷入してしまうことが主な原因です。
一方、足の裏の粉瘤の発生にはケガによって表皮が皮膚の中に迷入してしまうこと以外に、パピローマウイルスの感染も関係していると考えられています。
足の裏の粉瘤は足の前方の前足部という荷重部によく発症します。ここは、タコや魚の目がよくできる部分です。
足の裏の粉瘤は痛い!
足の荷重部に粉瘤ができるとその部分が盛り上がるのでタコができ、表面の皮膚が硬くなります。
タコができると歩行時に痛みが出るのですが、その下に粉瘤があることに気がつかずにタコの治療を延々とされていることがしばしばあります。
そして、皮下で袋の一部が破れて炎症を起こしたりするとかなりの激痛を伴います。
足の裏の皮膚は厚いので、表面から見たり触ったりしても粉瘤の袋が分かりにくく、痛みが強くてレントゲンをとっても骨に異常がないため「とりあえずしばらく様子を見ましょう」と言われて経過観察され、痛いままの場合もあります。
足の裏の強い痛みが出てきて原因がわからない場合、粉瘤の可能性も念頭に入れて形成外科を受診することも検討すると良いと思います。
足の裏の粉瘤の診断
超音波(エコー)をすると容易に診断をつけることができます。
レントゲンでは骨の異常は見つけることができますが、皮下のできものの診断は難しいです。
CTやMRIでも診断をつけることができます。
足の裏の粉瘤の治療
足の裏の粉瘤はくり抜き法で容易に切除することができます。
くり抜き法は2〜4mmの穴あけパンチで皮膚に穴をあけて粉瘤の内容物を圧出後、粉瘤の壁を周囲から剥がして取り出す方法です。
足の粉瘤では、粉瘤の袋の壁が厚く丈夫で破れにくい上に周囲の組織との密着が緩く、容易に引き出すことができます。
他の部位の粉瘤では、袋を周囲の組織から慎重に剥がしていく必要があるのですが、足の裏はスポンっと抜けて取れることもあります。
切除が容易なだけでなく、術後の経過も優れています。
切開法では、粉瘤の大きさに合わせて傷が大きくなり、その傷にそって術後に硬いタコができて痛むことがあります。
くり抜き法では2〜4mmmの丸い傷ができますがタコができにくく、たとえその部分がタコになっても切開法と比較して小範囲で痛みも少ないです。
まとめ
足の裏の粉瘤のくりぬき方について説明しました。
足の裏の粉瘤は時に痛みを伴って受診しても原因不明として様子見となって苦しむこともありますが、エコーを行うことで容易に診断が可能です。
治療はくり抜き法が適していると考えます。
参考文献
出光俊郎ほか: 足底表皮嚢腫に対するくり抜き法ー自治医科大学さいたま医療センター18例のくり抜き症例の経験からー. Skin Surgery 23(3); 1120-125, 2014
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